
要点
編み物のパターンには、まず材料、ゲージ、サイズが書かれ、そのあとに編み方が続きます。日本の本では編み目記号を使った編み図が中心で、記号は表側から見た編み目を表すため、裏側を見て編む段では記号と反対の目を編みます。英文パターンは k(表目)や k2tog(左上2目一度)などの略語で書かれます。始める前に全体を一度読み、自分のサイズに印をつけておきましょう。
英文の編み物パターンは、はじめて見ると暗号のように見えるかもしれません。「K3, *p2, k2; rep from * to last st, k1.」といった具合です。日本の本の編み図も、記号がぎっしり並んでいて戸惑うことがあります。でも実際は、どちらも少ない決まりごとを一貫して使っているだけです。パターンの構成と、よく使われる記号や略語の意味がわかれば、1段ずつ追って編めるようになります。この記事では、まず日本の編み図の読み方を、次に英文パターンの読み方を紹介します。英文パターンはアメリカの用語で説明し、イギリスの用語との違いは後半にまとめます。
編み物のパターンの構成
ほとんどのパターンは、同じ順番で書かれています。
- タイトルと難易度:「初心者向け」「やさしい」「中級」「上級」などです。英文パターンでは「beginner」「easy」「intermediate」「experienced」とよく書かれます。
- サイズとでき上がり寸法:サイズごとの、仕上がった作品の実際の寸法です。
- 材料と用具:糸(太さ、素材、必要な量)、針の太さと種類、そしてステッチマーカーやとじ針などの小物です。
- ゲージ:ある編み方で編んだ10cm四方に入る、目数と段数です。ゲージを合わせると、作品が正しい大きさに仕上がります。確かめ方は、棒針のサイズ早見表で紹介しています。
- 略語や特別な編み方の説明:デザイナーによる凡例です。この記事と違うことが書かれていたら、パターンに従いましょう。日本の本では、巻末に編み目記号の編み方がまとめられていることがよくあります。
- 編み方:1段ずつ、または輪編みの1周ずつの指示で、「後ろ身頃」「前身頃」「袖」などのパーツごとに分かれていることがよくあります。日本の本では、製図と編み図に、要点をまとめた短い文章が添えられるのが一般的です。
- 仕上げ:パーツのとじはぎ、糸始末(糸端を編み地の裏に隠すこと)、ブロッキング(作品をぬらしたりスチームを当てたりして、形を整えて乾かすこと)です。
サイズの書き方:かっこの決まり
英文パターンで複数のサイズがある場合、いちばん小さいサイズの数字が先に書かれ、ほかのサイズの数字がかっこの中に、いつも同じ順番で続きます。たとえば、S(M、L、XL)サイズのパターンに「Cast on 80 (88, 96, 104) sts.」とあれば、Mサイズを編む場合は88目作り目をします。
数字が1つしか書かれていなければ、すべてのサイズに共通です。0やダッシュ(-)は、その手順が自分のサイズには当てはまらないことを示します。
日本の編み図の読み方
日本の本や雑誌のパターンは、文章よりも図で編み方を示すのが一般的です。おもに、全体の形と寸法を示す製図と、1目ずつの編み方を示す編み図があります。
製図の見方
製図は、パーツの形を線で描き、寸法をcmで、それに必要な目数と段数を書き込んだ図です。たとえば身頃の下に「(80目)作る」とあれば、80目作り目をするという意味です。形作りの部分には、増し目や減らし目のしかたが数字で示されます。
- 「2-1-3」のような3つの数字:左から段数・目数・回数を表し、「2段ごとに1目を3回」減らす(または増やす)という意味です。
- 「平」:増減なしに編むことを表します。「6段平」なら、増減なしで6段編みます。
- 「伏せ目」:その目数を伏せ止めすることを表します。
編み図の見方
編み図は、模様の編み方を、編み地の表側から見た絵として表したマス目の図です。レース、なわ編み、編み込み模様によく使われます。
- 1マスが1目、横1列のマスが1段(輪編みでは1周)を表します。
- 下から上へ読みます。1段めは、いちばん下の列です。
- 平らに編む場合は、表側を見て編む段を右から左へ、裏側を見て編む段を左から右へ読みます。段数はたいてい、その段の編み始めの側に書かれていて、編む方向が矢印で示されることもあります。
- 輪に編む場合は、いつも表側が自分のほうを向いているので、どの段も右から左へ読みます。
- 記号の意味は、凡例で確かめます。記号は表側から見た目を表しているので、裏側を見て編む段では、記号と反対の目を編みます。たとえば表目の記号「|」は、裏側の段では裏目で編みます。メリヤス編みが、編み図では「|」だけで描かれているのはそのためです。
- 太線や色で囲まれた部分は、段の中で何度もくり返して編む目のまとまり(1模様)です。
- 網かけのマスは、「目がない」ことを示す場合がよくあります。そのマスは飛ばして読みます。目数が変わっても、図の並びがずれないようにするためのものです。
よく使われる記号を、いくつか紹介します。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| | | 表目 |
| - | 裏目 |
| ○ | かけ目 |
| ● | 伏せ目 |
凡例に「□=|」とあれば、空白のマスは表目の記号と同じ意味です。左上2目一度や右上2目一度などの減らし目、増し目、なわ編みにも、それぞれ記号があります。形の似ている記号もあるので、はじめのうちは、凡例や本の巻末の記号の説明と見比べながら編みましょう。
英文パターンでよく使われる略語
英文パターンは、編み図よりも文章が中心で、編み方は略語で書かれます。よく見かける略語を、日本語の意味と合わせてまとめました。
| 略語 | 意味 |
|---|---|
| k | 表目(knit) |
| p | 裏目(purl) |
| st / sts | 目(stitch / stitches) |
| RS | 表側:仕上がった作品の外側に出る面 |
| WS | 裏側:作品の内側、または裏の面 |
| rep | くり返す |
| k2tog | 左上2目一度:次の2目を1目として表目で編む。1目減り、右に傾く |
| ssk | 右上2目一度にあたる減らし目:2目を1目ずつ表目を編むように右針に移し、2目の向こう側の足に針を入れて、一緒に表目で編む。1目減り、左に傾く |
| yo | かけ目:右針に糸をかけて新しい目を1目作る。小さな飾り穴ができる |
| kfb | 同じ目に、手前側の足、続けて向こう側の足の順に表目を編み入れる。1目増える |
| m1 | 目と目のあいだに渡った横糸から、新しい目を作る増し目(日本でいうねじり増し目) |
| m1L | 左に傾く増し目:左針で横糸を手前から向こうへすくい、向こう側の足に針を入れて表目で編む |
| m1R | 右に傾く増し目:左針で横糸を向こうから手前へすくい、手前側の足に針を入れて表目で編む |
| sl | すべり目:目を編まずに、左針から右針へ移す |
| pm | マーカーを入れる(place marker) |
| sm | マーカーを移す:マーカーを左針から右針へ移す |
| BO | 伏せ止め(bind off) |
| CO | 作り目(cast on) |
| tbl | 向こう側の足に針を入れて編む(ねじり目)。目がねじれる |
| wyif | 糸を手前(自分の側)に置いて |
| wyib | 糸を向こう側(自分から遠い側)に置いて |
| beg | 編み始め |
| inc | 増し目:1目以上増やす |
| dec | 減らし目:1目以上減らす |
| rnd | 輪編みの段:輪に編むときの1周 |
いくつかの決まりを知っておくと、表がもっと読みやすくなります。
- 略語のあとの数字は、目数を表します。「k3」なら、表目を3目編みます。
- 指示の最初では、略語が大文字で始まることがよくあります。「K2」と「k2」は同じ意味です。
- 「knitwise」と「purlwise」は、針の入れ方を表します。それぞれ、表目を編むように、裏目を編むように、という意味です。パターンに特に指示がなければ、すべり目は裏目を編むように移します。sskのような減らし目では、表目を編むように移すよう指示があります。
- m1とだけ書かれている場合は、たいてい m1L のように編みますが、別の方法を指すデザイナーもいます。パターンの凡例で確かめましょう。
くり返しの読み方:アスタリスクとかっこ
アスタリスク(*)は、くり返しの始まりを示します。「rep from *」は、アスタリスクのところに戻って、指示された回数だけ同じ目をもう一度編む、という意味です。
「K3, *p2, k2; rep from * to last st, k1.」を例にとると、次のように読みます。
- 表目を3目編みます。
- 裏目を2目編みます。
- 表目を2目編みます。
- 左針に1目だけ残るまで、2と3をくり返します。
- 最後の1目を、表目で編みます。
アスタリスク2つ(**)は、2つめのくり返しの位置を示します。使い方は、指示の中で説明されています。
かっこは、目をまとめます。「(K2tog, yo) 3 times」なら、k2tog、yo、k2tog、yo、k2tog、yo と編みます。「(K1, p1, k1) in next st」なら、その3つをすべて同じ1目に編み入れます。
段の終わりに、「(48 sts)」のような目数がかっこで書かれていることもあります。その段を編み終えたときに、あるべき目数です。特に増し目や減らし目のあとは、数えて確かめましょう。
「work even」「as established」など、パターンによく出てくる表現
- Work even:増し目も減らし目もせずに、今の模様のまま編み続けます。日本の製図でいう「平」です。
- As established、または in pattern:これまでに編んできた模様を、下の目にそろえて編み続けます。ゴム編みなら「目なりに編む」、つまり、Vの字に見える目は表目で、こぶに見える目は裏目で編むという意味です。
- Ending with a WS row:次に進む前に最後に編む段が、裏側の段になるようにします。そうすれば、次の部分は表側の段から始まります。
- Every 4th row:1段で形作りをしたら、そのあと3段は形作りをせずに編む、をくり返します。日本の製図の「4-1-○」と同じ考え方です。
- At the same time:2つの指示を同時に進めます。たとえば、襟ぐりの形作りをしながら、肩の形作りもする場合です。こうした部分は2回読み、始める前にメモをとりましょう。
USとUKの編み物用語の違い
k2tog や ssk をはじめ、ほとんどの略語は、アメリカでもイギリスでも同じです。違うのは一部の用語だけです。
| US | UK | 日本語 |
|---|---|---|
| bind off | cast off | 伏せ止め |
| gauge | tension | ゲージ |
| stockinette stitch | stocking stitch | メリヤス編み |
| seed stitch | moss stitch | かのこ編み |
| work even | work straight | 増減なしに編む(平) |
| yarn over (yo) | yarn forward (yfwd)、yarn round needle (yrn)、yarn over needle (yon)(前後の目の種類によって使い分けます) | かけ目 |
moss stitch には注意が必要です。アメリカのパターンでは別の編み方を指し、1段ごとではなく2段ごとに表目と裏目が入れ替わる、かのこ編みを縦に伸ばしたような模様になります。イギリスのパターンでは、針のサイズはミリで、古いものでは旧イギリスサイズの番号で書かれています。糸の太さには、DKやaranなどの呼び名が使われます。
パターンを見ながら編むコツ
- 作り目をする前に、仕上げまで含めて、パターン全体を一度読みます。
- 自分のサイズに、全体を通して印をつけます。
- 段数カウンター(小さなカウンターでも、紙に「正」の字を書くのでもかまいません)を用意し、1段編むたびに記録します。
- くり返しの区切りにステッチマーカーを入れておけば、数えまちがいが数目のうちにわかります。
- デザイナーが訂正(英語では errata、日本の本では「正誤表」)を出していないか確かめます。
次に学びたいこと
練習にいちばんいいのは、シンプルなパターンで実際に編んでみることです。初心者向けの作品からひとつ選び、なじみのない編み目が出てきたら、表目や裏目の記事を見直しましょう。ライブラリーの本と講座では、作品のパターンを最初から最後まで、一歩ずつ解説しています。
よくある質問
編み物の k2tog とは、どういう意味ですか?
k2tog は「knit two together」の略です。右針を次の2目に一度に、表目を編むように入れ、1目として編みます。1目減って右に傾く減らし目で、日本の編み目記号でいう左上2目一度にあたります。
k2tog と ssk の違いは何ですか?
どちらも1目減らす減らし目です。k2tog は右に傾き、ssk(slip, slip, knit)は左に傾きます。日本でいえば、k2tog は左上2目一度、ssk は右上2目一度にあたり、左右対称の形作りをするために、よく組み合わせて使われます。
英文パターンのかっこ内の数字は、何を意味しますか?
数字が並んでいる場合、かっこ内の数字は大きいサイズ用の数字で、サイズの順に並んでいます。段の終わりにあるかっこ内の数字は、その段を編み終えたときの目数です。いくつかの目をかっこで囲んでいる場合は、くり返しを示します。
編み図は、どう読めばいいですか?
編み図は下から上へ読みます。平らに編む場合は、表側を見て編む段を右から左へ、裏側を見て編む段を左から右へ読み、裏側の段では記号と反対の目(「|」なら裏目、「-」なら表目)を編みます。輪に編む場合は、どの段も右から左へ、記号どおりに編みます。
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