
要点
指でかける作り目は、2本の糸を使って、きれいで適度に伸びる最初の段を作る方法です。糸端は1目あたり約2.5cmを目安に、糸始末の分を足した長さをとります。針にスリップノットを作ったら、糸端を左手の親指に、編み糸を人差し指にかけ、それぞれの糸から輪をすくい取るようにして1目ずつ作っていきます。
作り目は、針に最初の段の輪をのせる作業です。これから編むすべての段は、ここから伸びていきます。指でかける作り目は、ほとんどの作品に使える応用範囲の広い方法です。形をしっかり保てるほど丈夫で、たいていの縁に十分な伸びがあり、見た目もすっきりしています。アメリカ式で編む人も、フランス式で編む人も、糸のかけ方は同じです。
両手を同時に使うので、はじめは複雑に見えるかもしれません。でも実際は、ひとつの動きのくり返しです。ゆっくり手順をたどれば、何回かくり返すうちに、手が順番を覚えはじめます。
用意するもの
- 棒針1本:作り目は1本の針にします。もう1本は、編み始めるときまで出番を待ちます。
- 毛糸:明るい色でなめらかな、中くらいの太さの糸がいちばん覚えやすいでしょう。
- はさみ
どの手順にも、次の2つの言葉が出てきます。
- 糸端:糸の自由な端のほうです。始める前に長さをはかります。
- 編み糸:糸玉から出ているほうの糸です。
糸端はどのくらいの長さが必要?
糸端は作り目をしながら使われていくので、すべての目を作れる長さに加えて、最後に糸始末をする分の余裕が必要です。確実なはかり方を2つ紹介します。
針に巻きつけてはかる方法
- 糸の端を、親指で針に押さえます。
- 必要な目数の回数だけ、糸を針にゆるく巻きつけます。
- 最後に巻いたところから、糸始末の分として約15cm足します。
- その位置で糸をつまみ、巻いた糸をほどきます。
つまんでいる位置が、スリップノットを作る場所です。針に1回巻く糸の長さは、その針で作る作り目1目分とほぼ同じなので、この方法はとても頼りになります。巻くときは、目そのものと同じように、きつすぎず、たるませずに巻きましょう。
目安で決める方法
中くらいの太さの糸なら、糸端は1目あたり約2.5cm、それに約15cmを足すのが目安です。たとえば20目なら、約65cmの糸端が必要です。太い糸や太い針では1目に使う糸が多くなり、細い糸では少なくなります。
目数が多いとき
作り目の目数が多いときは、試してはかりましょう。10目作り目をしてから目をほどき、使った糸端の長さをはかります。その長さに、必要な目数が10目の何倍にあたるかを掛け、糸始末の分を足します。
スリップノットの作り方
スリップノットは、糸を針に固定する、大きさを調節できる輪です。指でかける作り目では、これが1目めになります。
- はかった位置で、編み糸を糸端の上に重ねて輪を作ります。
- 輪の中に指を入れ、編み糸を小さく二つ折りにして引き出し、新しい輪を作ります。
- その新しい輪を針に通します。
- 2本の糸をそっと引いて、針のまわりで結び目を引き締めます。
スリップノットは、針にぴったりおさまりつつ、針の上を動かせるくらいがちょうどいい締め具合です。針を締めつけるほどきつい場合は、少しゆるめてから先に進みましょう。
指への糸のかけ方(親指と人差し指をY字に開く構え)
- スリップノットのかかった針を右手で持ち、結び目が針のまわりで回らないよう、右手の人差し指を結び目に添えます。
- 2本の糸を針から下に垂らします。糸端は手前側、編み糸は向こう側です。
- 左手の親指と人差し指を、下から2本の糸のあいだに入れ、糸端が親指に、編み糸が人差し指にかかるようにします。
- 残りの3本の指で2本の糸をまとめて軽く握り、手のひらに添えます。
- 左手のひらを上に向け、親指と人差し指をY字に開きます。
- 針を少し下げて、針から親指と人差し指へ、糸がV字を描くようにします。
これで、親指には糸の輪がかかり、人差し指から針へ1本の糸が渡っている状態になります。作り目のあいだは、ずっとこの構えを保ちます。
作り目の1目ずつの作り方
- 親指にかかった輪の中に、針先を下から入れます。このとき、いちばん手前の糸の下をくぐらせます。
- 針先を、人差し指から針へ渡っている糸の上へ回し、その糸をひっかけます。
- ひっかけた糸ごと、針先を親指の輪の中に戻して下へ通します。
- 親指から輪をはずします。
- 親指を糸端の下に戻し、親指と人差し指をそっと開いて、新しい目を針に引き締めます。
これで1目です。新しい目を作るたびに1〜5をくり返し、毎回Y字の構えに戻ります。動きを短く覚えるなら、親指の輪に下から入れて、人差し指の糸をかけ、親指の輪へ戻すです。
作り目の目はどのくらいの締め具合にする?
新しい目は、針を締めつけずに、ぴったりおさまっているのが理想です。
- 目が、針の上をなめらかに動くこと。
- 目と目が触れ合いつつも、ぎゅうぎゅうに詰まっていないこと。
- 締めるときは、糸端をぐいっと引くのではなく、親指と人差し指を開いて締めること。
目を針の上で動かしにくいなら、きつすぎます。ゆるい輪がぶら下がっているようなら、作りながら、もう少しずつ締めていきましょう。いちばん大切なのは、すべての目がだいたい同じ大きさになっていることです。
作り目の目数の数え方
- 目が自分のほうを向くように、針を持ちます。
- スリップノットも含めて、針の上にのっている輪を数えます。針の下側に沿って走っている糸の筋は目の土台で、余分な目ではありません。
- 指先で1つずつ触れながら、10目ずつ区切って数えます。
- 目数が多いときは、作りながら20目ごとにステッチマーカーを針に通しておけば、数え直すのは1区切り分だけですみます。
- 編み始める前に、もう一度数えます。
目数が合っていたら、針を左手に持ち替え、空の針を右手に持って、編み糸で1段めを編み始めます。表目の編み方は、ちょうどここから始まります。
指でかける作り目のよくあるまちがいと直し方
途中で糸端が足りなくなった
糸端が足りなければ、作り目を最後まで終えることはできません。針から目をはずしてほどき、もっと長い糸端でやり直します。ほどく前に、その糸端で何目作れたかを数えておきましょう。その糸と針で1目に使う糸の長さがわかるので、次は正確にはかれます。
作り目がきつすぎる
こんなサイン:1段めが編みにくい、作り目の端がその上の編み地より幅が狭い、あるいは縮んで伸びない、といった状態です。
直し方:
- 針を2本そろえて作り目をし、1段めを編む前に1本をそっと抜きます。日本の編み物の本では、はじめからこの方法で作り目をするやり方もよく紹介されています。
- または、作品に使う針より1〜2号太い針で作り目をし、1段めはいつもの針で編みます。
- 作り目をするときは、目を針の上でぎゅっと寄せず、自然な大きさのままにしておきます。
糸が入れ替わってしまった
糸端は親指に、編み糸は人差し指にかけるのが決まりです。途中で手を休めて持ち直したときなどに、気づかないうちに逆にかけてしまうことがあります。それでも目はできますが、糸が入れ替わった位置で、作り目の端に小さな乱れが出ます。再開する前に確かめましょう。端の変化に気づいたら、その位置までほどき、正しい位置に糸をかけ直して続けます。
目の大きさがそろわない
ゆるい目ときつい目が混じるのは、たいてい1目ごとに締め方が違っているからです。毎回、親指と人差し指を同じように小さく開いて締めるよう意識しましょう。針にのっているあいだは、多少の差は見た目ほど影響しません。
ほかの作り目を選んだほうがいいとき
指でかける作り目は、ほとんどの最初の作品に向いていますが、作り目はこれだけではありません。場面によっては、別の方法が合うこともあります。
- とてもよく伸びる端が必要なとき、たとえば上から編む靴下の履き口や、頭を通すためによく伸びなければならない襟ぐりには、ジャーマン・ツイステッド・キャストオンのような、より伸縮性のある作り目のバリエーションや、ゴム編み用のチューブラー・キャストオンがよく選ばれます。
- 編み地の途中で目を増やすとき、たとえばボタンホールの上などでは、糸端を使わずに編み糸だけで作れる作り目が必要です。ケーブル・キャストオンや、日本で「巻き目」と呼ばれるバックワード・ループ・キャストオンがその例です。
- パターンで作り目の方法が指定されているときは、それに従いましょう。デザイナーは、その縁のためにその方法を選んでいます。
次に学びたいこと
目が針にのったら、次は表目です。最初の一目から作品の完成までの全体の流れは初心者のための棒針編み入門で、最初の作品を編み終えたら伏せ止めのやり方で学びましょう。
よくある質問
指でかける作り目の糸端は、どのくらいの長さが必要ですか?
中くらいの太さの糸なら、1目あたり約2.5cmに、あとで糸始末をするための約15cmを足すのが目安です。もっと正確に知りたいときは、必要な目数の回数だけ糸を針にゆるく巻きつけ、そこに糸始末の分を足します。
指でかける作り目では、スリップノットも1目に数えますか?
はい。スリップノットが1目めになります。パターンに「20目作る」とあれば、スリップノットを作ったあと、さらに19目作ります。
指でかける作り目がきつくなってしまうのはなぜですか?
多くの場合、1目ごとに糸を強く引きすぎているか、目をぎゅっと詰めて作っているのが原因です。針を2本そろえて作り目をするか、1〜2号太い針で作り目をし、1段めはいつもの針で編みましょう。
作り目の途中で糸端が足りなくなったら、どうすればいいですか?
針から目をはずして、もっと長い糸端で最初からやり直します。ほどく前に、その糸端で何目作れたかを数えておきましょう。1目に使う糸の長さがわかるので、次は正確にはかれます。
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